米国株の配当にかかる税金:米国10%+国内20.315%と外国税額控除のしくみ
米国株の配当金を受け取ると、明細には税金が2回引かれていることに気づきます。1回目は米国での源泉徴収、2回目は国内での源泉徴収です。ここでは、その内訳と、払いすぎた分を取り戻す外国税額控除の考え方を整理します。
1. 米国での源泉徴収:10%
米国は非居住外国人が受け取る米国源泉の配当に原則30%で課税します(内国歳入法871条)。ただし日米租税条約(2003年署名)第10条により、日本の居住者が受益者である配当の米国での課税は、原則として配当総額の10%が上限です(議決権の10%以上を保有する法人株主などには5%や免税の規定があります)。個人投資家の場合、通常は10%が差し引かれます。
財務省が掲載している統合条文(2013年改正議定書反映、2019年8月30日発効)でも、第10条2(b)は「その他のすべての場合には、当該配当の額の十パーセント」と定めています。米国の規制投資会社(RIC、米国籍ETFや投資信託の多く)の配当にも2(b)の10%が適用されます。不動産投資信託(REIT)の配当は、持分10%以下の個人などの条件を満たす場合に限り10%が適用されます。
注意
2. 国内での源泉徴収:20.315%(米国税を差し引いた後の金額に課税)
国税庁によると、上場株式等の配当等には20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、地方税5%)が源泉徴収されます。
公的資料で確認
計算例
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 配当総額 | US$1,000 |
| 米国源泉税 10% | US$100 |
| 国内源泉税(US$900 × 20.315%) | US$182.84 |
| 手取り | US$717.17 |
合計の負担率は約28.28%です。
3. 外国税額控除で米国税を取り戻す
同じ配当に日米両方で課税されている「二重課税」を調整するのが外国税額控除です。国税庁は、外国所得税を一定の控除限度額の範囲内でその年の所得税額から差し引けると説明しています。所得税の控除限度額は次の式で計算します。
所得税の控除限度額 = その年分の所得税額 ×(その年分の調整国外所得金額 ÷ その年分の所得総額)
外国所得税額がこの限度額を超える場合は、復興特別所得税の控除限度額の範囲で、超えた部分を復興特別所得税額から差し引けます。さらに国税庁の説明では、地方税(住民税)の控除限度額は所得税の控除限度額の30%とされ、控除しきれない部分は一定の要件のもと前年以前3年内の控除余裕額・控除限度超過額との間で繰越計算ができます。
重要
ポイント
4. NISA口座では外国税額控除は使えない
NISA口座の配当は国内では非課税です。国税庁の外国税額控除の説明では、控除の対象とならない外国所得税として、非課税口座内上場株式等の配当等に対して課される外国所得税額が挙げられています。そのため、NISA口座で受け取る米国株の配当は米国の10%だけが差し引かれ、その10%は取り戻せません。
重要
まとめ
- 課税口座:米国10%+国内20.315%。確定申告で外国税額控除を受けると、米国分の一部または全部が戻る可能性があります。
- NISA口座:米国10%のみ。国内は非課税ですが、外国税額控除は使えません。
出典
- 米国財務省:日米租税条約(2003年署名)第10条
- 財務省:日米租税条約 統合条文(和文、第10条)
- 財務省:我が国の租税条約等の一覧(アメリカ:2003年署名・2004年発効、2013年改正議定書・2019年発効)
- 26 U.S. Code § 871(LII)
- 国税庁 No.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度
- e-Gov法令検索:租税特別措置法 第9条の2第3項(国外株式の配当等の源泉徴収の特例)
- e-Gov法令検索:地方税法 第71条の29(国外株式の配当等に係る配当割の課税標準)
- 国税庁 租税特別措置法関係通達 第9条の2関係(9の2-4 外国所得税の額)
- 国税庁 No.1240 居住者に係る外国税額控除
情報確認日:2026年10月17日。本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、税務・法律・投資の助言ではありません。